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DVD 綴方教室 (1938) 黒澤明 高峰秀子 徳川夢声 清川虹子 滝沢修 赤木蘭子 小高まさる 三村明 三島雅夫 豊田正子 水谷史郎 山本嘉次郎

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  • DVD 綴方教室 (1938) 黒澤明 高峰秀子 徳川夢声 清川虹子 滝沢修 赤木蘭子 小高まさる 三村明 三島雅夫 豊田正子 水谷史郎 山本嘉次郎_1
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s_watanabe
5つ星のうち5.0 『黒澤明 DVDコレクション』第52弾(初DVD化!)
2020年1月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入

朝日新聞出版の『黒澤明 DVDコレクション』の再々追加分の第2弾(第52号)にあたる本号では、小学生時代の自身の作文を集めた、豊田正子の原作を基にした『綴方教室』が登場。子役として松竹で人気を得た高峰秀子が、P.C.L(東宝)へ移籍して初主演した(当時14歳)作品としても有名だ。山本嘉次郎が監督を務め、彼の弟子である黒澤は製作主任を担当。黒澤は、現場の何でも屋的な役割を担い、劇中、正子の腕に止まる蚊なども器用に作ってみせたという。

東京の葛飾区四ツ木。荒川堤下の貧しい家族が肩を寄せ合うように集まる長屋に、豊田家がある。主の由五郎(徳川夢声)は、ブリキ職人だが、折からの不況で仕事がない日もあり、一家5人の生活は困窮を極めていた。そんなある日、長女の正子(高峰秀子)は、学校の綴方(作文)教室で、大木先生(瀧澤修)に作文を褒められる。それを境に、正子は、日々の生活で起ったことを題材に積極的に作文をするようになり、才能を開花させる…。

貧困にあえぐ一家の日常の哀歓を、長女の視点で静かで細やかに描いた作品だが、過度にドラマチックにせず、湿っぽくも、感傷的にもなっていないのが良い。由五郎が仕事にあぶれたり、大事な仕事道具である自転車を盗まれて(ヴィットリオ・デ・シーカ監督の『自転車泥棒』のように)、日々の食事にも困るような深刻な描写の連続なのだが、山本監督は、豊田一家をやさしく見つめながらも、あくまで客観的な距離感で、淡々と演出している。また、赤貧の生活を恨んだり、腐ったりもせずに、ありのままに受け入れ前向きに生きる主人公、正子の姿も(実際に、本人がそういう大らかな性格だったのだろう)、素直で清々しい。

実際に、四ツ木の長屋で長期ロケーションを試み(もちろん、セットとも巧妙に組み合わせてはいるのだが)、その環境に、俳優たちを配置したドキュメンタリー的な手法は、土地の生の空気感を切り取り、素晴らしい効果をあげている。小学校校舎、学校の登下校で子供たちが通る道、家のすぐ前にある井戸、洗濯に利用する川…など、昭和初期の懐かしい日本の生活風景も、本作の立派な顔であり、俳優と言えるだろう。正子を演じる高峰は言うまでもなく、父親役の徳川夢声(やさぐれた職人という感じで、実に味がある)や母親役の清川虹子(生活に疲れ切った感じが、妙に生々しい)も、本当に四ツ木の土地で何年も暮らして来たのではないかと錯覚させるほどの生活感を醸し出している。

ラストは、小学校を卒業した帰り道を歩く、笑顔の正子を正面から捉えるトラック・ショット。正攻法ではあるけれど、少女の目前に広がる明るい未来と希望が感じられる素晴らしい幕切れだ。

本DVDは、今回のシリーズのおかげで初DVD化されたもの。かつてキネマ倶楽部から発売されていたVHS用マスター(当時は、1インチかD2だったはず)ではなく、おそらく、その後、日本映画専門チャンネルなどで放映された際に新たに作られたマスターを流用しているのだろう。例によって、徹底的なレストアはされていないようだが、大きなキズもなく(パラは散見されるが)、白黒諧調も決して豊かとは言えないものの、全体としてはとても観やすい画質で、VHSからはかなり向上している。音声もこもり気味だが、セリフがわからないということもない。

特典、予告編などの収録はなく、例によって、シリーズ・ガイドが収録(4分31秒)。

ブックレットは、いつも通りの12頁で構成されている。本号のインタビューは、『 まあだだよ 』に出演した俳優の岡本信人氏。撮影現場での独特な緊張感などを伝えている。

それにしても、パッケージ・ソフトの売り上げが落ちているとはいえ、本作のような評価が定まっている名作が、長らくDVD化されなかったのは不思議であり、やはり東宝の怠慢と言えるのではないだろうか。映画ファンは、何としても本号を手に入れるべきだろう。

13人のお客様がこれが役に立ったと考えています

美しい夏
5つ星のうち5.0 日本ホームドラマの先駆的名作。高峰秀子14歳vs清川虹子25歳
2020年1月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入

1938年(昭和13年)8月21日公開の東宝映画。日本映画傑作全集の一本としてビデオ化されているが、DVD化は初めて。
監督は山本嘉次郎36歳。製作主任(チーフ助監督)が黒澤明28歳。主演は14歳の高峰秀子で、この前年に松竹から東宝の前身のP・C・L映画に引き抜かれたばかり。高峰秀子は5歳で子役デビューし、すでに名子役として知られていたが、主演女優はこの作品が初めて。
父親役は徳川夢声44歳、母親役は清川虹子25歳、弟役が小高まさる9歳、大木教師役が瀧澤修32歳。
原作は大木顕一郎・清水幸治の共著として1937年(昭和12年)8月3日(7月7日が盧溝橋事件)に中央公論社から出版された『綴方教室』の前編。
この前編は、豊田正子が1932年(昭和7年)の小学4年(9歳から10歳)時に書いた綴方と大木顕一郎の指導記録(+鈴木三重吉の選評)からなり、映画に採用されたエピソードは大部分が豊田正子の綴方だが、綴り方名誉毀損騒動(うさぎ)の部分は大木の指導記録も入っている。また、正子が芸者に売られそうになる部分は、のちに『続綴方教室』に収録された『芸者』から取られている。
豊田正子は高峰秀子より一つ年上で、この映画の頃は小学校を卒業して工員となっていた。
この映画の評価は高く、キネマ旬報ベストテン第5位に選ばれている。今回の黒澤明関連戦前シリーズ51号から60号の中で、キネ旬ベストテンに選ばれたのはこの作品だけである。
内容概略
映画の内容はおおむね原作通りだが、映画は主人公の小学6年4月~卒業までの話と変えられている。13にもなって、というセリフが出てくるが、たぶん数え13の意味で、満11歳から12歳の話であろう。
また、豊田の家は3軒長屋の真ん中であったが、映画に使われた家は両端に道がある。
映画の時代設定がいつなのかはっきりしないが、年末の不況の強烈なこと、戦争の話がほとんど出てこないことからは、原作通りの昭和7年に設定したように思われる。
ストーリーは
弟のことを綴り方に書く隣のおじさんに鶏を殺してもらう田舎(実家?)に返される隣のおばさんが、うさぎをくれたことを書いた綴方が「赤い鳥」に掲載されるおばさんの言った町の顔役の悪口をそのまま書いてしまい、苦情が入って大騒動になる父親が集金に行って、自転車を盗まれる仕事がなくてブリキ屋を廃業して登録人夫になるが、仕事がない年末にやっと仕事が入るが、大晦日になっても支払われず、大騒動になる。年が明けても貧乏が続く・・・。
私的感想
〇本CDパンフの作品解説には「ドキュメンタリー・タッチ」、「ドラマ的な要素をできるだけ排除したセミ・ドキュメンタリー風の映像」とあるが、私はあまり賛成できない。ドキュメンタリーと劇映画が対立語なのか否かは別として、本作品は立派な劇映画である。豊田正子の綴方が一応事実を記録したものであっても、映画はそれを上手につなぎ合わせドラマティックなストーリーに仕立てたものである。そもそも、いくら不況下でも、庶民の家で大晦日の夜に、こんなドラマティックな事件が次々起こることはありえないだろう。
〇本CDパンフには「貧しくとも明るく健気に生きる少女の姿」ともある。当時の映画宣伝チラシにも「素朴に力強く綴られた明るいこの生きる力」「何よりもこの健康的な微笑の足どり」とある。まあ、一応、その通りであろう。映画が封切られた東京有楽町の日劇では、上映終了時に大きな拍手が起きたという(岩波文庫版解説)。
〇「明るく健気に」「素朴に力強い」「健康的な微笑」については、高峰秀子という名子役女優の寄与が大きい。撮影も巧みである。高峰秀子はウルトラ美少女であり、どんな貧しい服を着せても、同年代の少女と並べると、その美しさが際立ってしまう。あまり際立つと貧困ドラマ(ドキュメンタリー?)にならない。それで、授業中の教室で女子生徒多数が出るシーンは少なく、ドラマはほとんどが家の内部で進行する(一部家の周り)。正子(高峰秀子)はずっと微笑んでいるわけではなく、泣きじゃくったり、ふてくされたり、母親に反論したり(反抗はあまりしない)と巧みな演技をみせるが、明るく微笑んだ時(冬の朝のたき火のシーンなど)はまさにトップアイドル的な美しさで、当時の観客の心をがっちりつかんだことだろう。
〇清川虹子の演じる母親のキャラクター設定と演技も素晴らしい。金を持ってくるのは父親だが、この家の実質的経営者は母親であり、家に滞在する時間も長いので、ドラマは正子vs母親の基本構造になっている。母親は正子の綴方が雑誌に載ると、ほうびに洋服(簡単服45銭)を買ってやる即断的な優しさもあるが、綴方名誉毀損問題が起こると、正子を長ぼうきで執拗に殴りつける。(このシーンの執拗さは黒澤映画的?)。芸者になれと執拗に正子に勧めるのも母親であり、その後に家の中のくだらないことを綴方に書くなと説教する(たしかにこれほど迷惑なことはないだろう)。それでも正子は綴方を書き・・・。
私的結論
〇素晴らしいホームドラマであると思う。
蛇足
〇ベストセラーになった『綴方教室』の印税はすべて教師に支払われ、その後の作品関連の収入もすべて大木教師(昭和17年死去)夫妻を潤すだけで、正子にはほとんど支払われなかったこと、それで、家の貧困状態は改善せず、母親の不倫もあって一家が崩壊状態になっていった等の衝撃的事実を、豊田正子は戦後(1959年、34歳)になって、実名小説『芽生え』の形で明らかにし、週刊誌を賑わせるスキャンダルとなった。この概略は高橋揆一郎『えんぴつの花』(1989)に書かれている。